最高裁判所第三小法廷 昭和27年(れ)58号 判決 1952年6月24日
本籍
新潟県刈羽郡中通村曾地九四七番地
住居
東京都江東区亀戸町三丁目一二三番地
バス車掌
笹川貢
昭和六年一月一二日生
本籍
東京都大田区雪ヶ谷町六二九番地
住居
同都品川区東大崎三丁目一四九番地 戸叶義隆方
会社員
臼井弘
当三一年
本籍
静岡県富士郡吉原町伝法番地不詳
住居
東京都北多摩郡小金井町貫井六〇四番地
学生
鈴木胖
昭和六年一〇月二〇日生
右の者に対する各強盗被告事件被告人笹川、同臼井について昭和二四年一二月二日同鈴木について昭和二五年四月五日いずれも東京高等裁判所の言渡した判決に対し、各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件各上告を棄却する。
理由
各被告人の各弁護人の上告趣旨はいずれも末尾添附別紙記載のとおりである。
被告人笹川貢の弁護人後藤衍吉の上告趣旨は原審が適法に為した量刑に対する非難に過ぎず、上告の理由とならない。
被告人臼井弘の弁護人林逸郎、同岩間幸平の上告趣旨第一点は原審の事実認定に対する非難であるが原審挙示の証拠によれば原審認定の事実は認められるから論旨は上告適法の理由とならない。
同第二点は弁護人後藤衍吉の上告趣旨と同様理由がない。
被告人鈴木胖の弁護人萩原由太郎の上告趣旨第一点は右被告人に対し原審が定期刑を言渡したのは違法であるというのであるが、論旨にもいつて居るとおり原判決言渡当時においては被告人は既に少年ではなかつたのである。かかる場合にはたとえ犯行当時少年であつたとしても、定期刑を言渡すべきもので、不定期刑を言渡すべきものではない。(昭和二六年(あ)第一二四一号、同二六年八月一七日言渡第二小法廷判決参照)それ故論旨は理由がない。
同第二点は被告人は本件犯行につき共謀したこともなく、又何等実行行為もして居ないのに原審が共同正犯として処罰したのは違法であるというに帰するが、原審挙示の証拠によれば原判示の共謀の事実はこれを認めることが出来る。そして強盗の共謀の事実があり共謀者の一人によつて強盗の行為が為された場合においては、他の共謀者も共同正犯として責を負うべきものであることは当裁判所の繰返し判例とする処である、それ故論旨は採用に値しない。
よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に従つて裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
検察官 浜田龍信関与
(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)